2020/01/12 17:05

鳳凰単叢には色々な香り、品種などが有りますが、その中でも十大香型というものがあります。
これは広東省の規格「DB44/T 820-2010 地理标志产品 凤凰单丛(枞)茶」の中で名前が挙げられている10種の香型を指します。
当店でも様々な単叢を扱ってますが、それが十大香型のどれに当たるのか、当たらないのかを整理しました。

黄梔香 宋種、黄梔香(黄梔香3号、育金黄梔香)、塌堀後、海底𢭐針、東方紅、石古坪烏龍 黄梔香
芝蘭香 芝蘭香(草蘭)、竹葉、杏花香、八仙(八仙過海)、鶏籠刊
蜜蘭香 蜜蘭香(白葉)
杏仁香 桃仁香、鋸
玉蘭香  
夜来香 碑頭
肉桂香 紅芯肉桂
桂花香 群体、嶺頭単叢 桂花香
姜花香 通天香
茉莉香 茉莉香
その他(品種化) 鴨屎香、七両、辣美人、蟠桃香、四季香、文種、大烏葉、紅蒂仔、柚花香(烏葉)
その他(単株) 百年蜜香、百年老叢 単株
その他(ブレンド) 六君子、嶺頭単叢 赤葉
※品種化は挿し木または接ぎ木で増やされているものを指します。

当店が扱ってるものだけでも十大香型の中で黄梔香、芝蘭香が多いですね。やはり黄梔香、芝蘭香に分類されている樹自体が多く、特に一番多いのは黄梔香でその次が芝蘭香です。
他の香型は分類されている樹が少なく、茉莉香に至っては中国鳳凰単叢茶図譜(単叢の茗茶樹がまとめられた本)にも2種しか掲載されていません。
その他に色々入っていますが、これらは独立しているか、香型としてまとまっていても十大香型ではないものです。柚花香は香型として色々な樹が有るようですが十大には入れてもらえなかったようです。
鴨屎香は本によっては黄梔香や杏仁香になっていますが、あまりそんな感じはしないですね。

単株はそもそも香型に入らず且つ増やされていない樹です。古樹なので味はとても良いのですが、品種化されている物と比較して特別な香りが足りていません。
単叢を飲み慣れてくると、こればかり飲むようになるとか…。

ブレンドは色々な樹・品種のブレンドです。六君子は当店オリジナルの名称で古樹6本のブレンドです。仕入れ元の農家さんが単体だと売りにくい量だったので混ぜたとのことです。
嶺頭単叢の赤葉は、饒平県で茶園を増やし始めた1960年代頃に烏崠山から持ってきた種や元が分からない挿し木で増やした苗を使ったため特定の品種になっていない・分かっていないものです。その中から見つかって品種化したものが白葉です。

さて十大香型とそれ以外を見てきましたがそれぞれどんな香りなのでしょう?
十大香型については書籍や農家さんの話によると以下の様に説明されています。
黄梔香 クチナシの花の香り
芝蘭香 潮汕地方に生えている白い花を咲かせる蘭の香り
玉蘭香 ハクモクレンの香り
蜜蘭香 マスカット、ライチのような香り、蜂蜜みたいな甘み
杏仁香 杏仁の香り
姜花香 生姜の花の香り、味に生姜の辛さを感じる
肉桂香 シナモンの香り、滷味の香りとも(※滷味は台湾の魯肉飯(滷肉飯)などの肉類を煮たものを指す)
桂花香 キンモクセイの花の香り
夜来香 夜来香の花の香り
茉莉香 ジャスミンの香り

さて「説明されても実際に飲んでみないと分からん」と言う方向けに今年(2020年)の烏崠山大庵※1の春茶のみ※2で構成された「鳳凰単叢 十大香型セット」を予約限定で2020年8月に販売予定です
※1: 鳳凰鎮にある烏崠山の北の方の標高900-1100mに位置する高山の村。烏崠山は伝統的且つ最も良質な鳳凰単叢を産する山。
※2: 秋茶、雪片、抽湿などは入りません
予約は以下のフォームから可能です。予約期限は2020年1月末までなので是非是非ご検討くださいませ。