2026/02/12 17:43

中国茶の淹れ方 ~温度と時間が紡ぐ、茶葉との対話~

お茶を淹れることは、茶葉と水と時間の関係を整えることです。中国茶には多様な種類がありますが、それぞれに適した温度と時間の組み合わせがあり、その枠組みを理解することで、茶葉本来の香り・味わいを引き出すことができます。

温度が決めるもの、時間が調整するもの

中国茶の淹れ方は、大きく分けて温度時間という二つの軸で成り立っています。
温度は茶葉の種類によって決まります。烏龍茶なら95-100℃、緑茶なら70-85℃。これはお茶の作り方や焙煎度に対応しており、高温ほど香りと味わいを強く引き出します。
時間は好みによって調整します。5秒なら軽やかに、30秒なら深く。同じ茶葉でも、抽出時間を変えることで異なる表情を見せてくれます。
この二つの要素を理解すれば、どんな中国茶にも応用が可能です。

茶葉の量と水量 ~密度が生む濃さ~

茶葉と水の比率は、味の濃さを左右します。一般的には3~8gの茶葉に対し、80~150ccの水を用いますが、これは茶葉の種類と茶器の大きさによって変わります。
小さな茶壺や蓋碗で淹れる場合、茶葉の量を増やし、少量の水で短時間抽出する「工夫茶式」が適しています。逆に大きめの急須やポットでは、茶葉を少なめにして長めに抽出する方法もあります。もちろん茶の種類により適する茶葉、適さない茶葉が有ります。
重要なのは、茶葉と水の密度です。密度が高ければ濃く、低ければ軽く仕上がります。自分の好みに合わせて、この比率を調整していくことが、淹れ方の上達につながります。

煎を重ねる楽しみ ~変化する香りと味わい~

中国茶の特徴の一つは、複数回淹れられることです。烏龍茶なら4~6煎、普洱茶なら6~15煎。同じ茶葉から、何度も異なる味わいを引き出せます。
1煎目は香りが立ち、2煎目は味が深まり、3煎目以降は穏やかな余韻が続きます。この変化を楽しむことが、中国茶の醍醐味です。
時間は煎を重ねるごとに少しずつ延ばしていきます。最初は5秒でも、後半は60秒、90秒と長くすることで、茶葉の持つ成分を最後まで引き出せます。

茶器が変える、香りの表情

同じ茶葉でも、茶器によって香りの出方が変わります。磁器の蓋碗は香りを鮮明に引き出し、陶器の急須は味を丸く包み込みます。
鳳凰単叢のような香り高い烏龍茶は、蓋碗で淹れることで品種ごとの特徴が際立ちます。一方、普洱茶や岩茶のような力強い茶葉は、紫砂壺(急須)で淹れると角が取れて滑らかになります。
茶器の選択は、好みと茶葉の性質によって決まります。まずは手元にある茶器で試し、変化を楽しんでみることをお勧めします。

 淹れ方の地図を手に

以下の画像には、お茶の種類ごとに最適な温度、時間、茶葉の量、煎数が記されています。これは淹れ方の地図のようなもので、初めて手にする茶葉でも、迷わず淹れられるように設計されています。
しかし地図は出発点であり、到達点ではありません。同じ茶葉でも、季節や気分、一緒に飲む人によって、淹れ方を変えてみることができます。5秒と30秒では、まったく異なるお茶になります。
淹れ方に正解はなく、あるのは「自分にとっての心地よさ」だけです。この地図を手がかりに、あなた自身の淹れ方を見つけていってください。

一杯の茶が、対話になるまで

お茶を淹れることは、茶葉との対話です。温度を選び、時間を測り、煎を重ねる。その過程で、茶葉が何を伝えようとしているのかを感じ取ることができます。
花の香り、果実の甘さ、草原の清涼感。それらは茶葉が育った土地の記憶であり、作り手の技術の結晶です。丁寧に淹れることで、その背景に触れることができます。
一杯の茶が、対話になるまで。それには時間がかかりますが、その過程こそが、中国茶を楽しむ本質なのかもしれません。