鳳凰単叢の高山、中山、低山って何?(2020/12/13追記) | 中国茶専門店 Tea Happiness

2017/09/19 23:07

「中国茶園の標高って結構わかりづらい」というご意見を店主アカウントのTLで頂いたので、とりあえず鳳凰単叢、特に烏崠山に限定して解説します。他の地域は勉強中です。
鳳凰単叢の高山、中山、低山は山の標高についての区分です。しかしこの分け方は、鳳凰単叢について記載された標準(中国 広東省が制定した規格)の中にも言及はありません。
以下の高山、中山、低山の区分についての説明は取引先の茶農家様の認識を元にして私が解釈したものです。そのため他の茶農家の方はまた違った認識を持っているはずですのでご注意ください。

鳳凰単叢は広東省潮州市潮安県にある鳳凰鎮というところで生産されています。
茶葉も基本的には鳳凰鎮に生えている茶樹から摘採されます。
この鳳凰鎮には標高1000-1200mの山があり、この山の山頂の方まで茶畑になっています。特に産地として有名なのが烏崠山です。

茶畑は鳳凰鎮の山の麓の方から山の山頂の方まで広がっており、その中で低山、中山、高山と分かれるわけです。
鳳凰鎮の中心市街でも標高400m弱は有るのですが、この辺りが低山となります。範囲的にはだいたい標高400-600m前後になります。
中山はだいたい標高600-800mです。筑波山の山頂付近と同じ標高です。
高山はその上、標高900m以上から山頂付近までとなります。
なお、標高400mより下にも茶畑はあるのですが、低山の括りにも入らなくなります。

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標高の分け方ですが、「鳳凰単叢 精彩図文版 [中国名茶叢書]」に明確に記載されました。

高山茶園 : 海抜800m以上、鳳西大坪が高山と中山の境
中山茶園 : 海抜500m~700m、鳳渓水庫が中山と低山の境
中低山茶園: 海抜400m~500m
低山茶園 : 海抜350m程度の山裾の棚田に多い 

GoogleMapを見ながら以下の解説文を読んでください。

鳳西大坪は鳳西村の大坪という地区(字)です。
鳳渓水庫はダム湖です。水力発電施設があります。
烏崠山は鳳渓水庫を囲むように∩のような形でそびえています(鳳凰山系はもっと範囲が広い)。
その中でも標高が高い地域が鳳渓水庫の西側に集中しており、特に高山地域となる800m以上の地域は大坪よりだいたい西側になります。
細かくはGoogleMapで標高線を表示してみてください。
村名で言うと、烏崠村(李仔坪、獅頭脚などなど)、鳳西村(大坪、中坪、大庵、七星庵など)です。
鳳渓水庫の東側にも800mを越える地域はありますが、その辺りはほとんど茶園になっていません。

ちなみにGoogleMapで中国を表示すると、地図と衛星写真はズレますのでご注意ください。

摘む時期に関してですが大体以下の様になります。
高山、中山 : ほぼ春のみ、まれに秋、雪片が出る。二春頃に自家用茶を作る人も居る。
中低山、低山: 最大年7回。頭春、二春、夏(2回)、秋(2回)、雪片。

あと本に書いてない情報もちょっと書いておきましょう。
高山、中山は冬(1月~春節頃)の寒さで一回芽が死にます(雪片とかその後に出た物)。
その後、春に向けて芽が出てきて春茶になります。
しかし最近は暖冬のせいで芽が死ななかったり、残ったり、早く出てきたりします。
そういう物を春節頃に摘んで春雪・茶虎などと言う名前で出すことも有るようです。
茶虎の「虎」は「大きい」ことを意味し、つまりは大きい茶葉。冬を乗り越えた大きい芽ということになります。
雪片と春茶の両方の特徴が有るようで、気になりますね。
なお極早生の品種のみですので、蜜蘭香(白葉)となります。
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さて、なぜこのように区分けされているかというと、やはり販売価格が大きく変わるからです。
当店も塌堀後だけは中山と高山両方扱っていますが、値段にかなり開きがあります。
何が違って価格差ができるの?という所ですが、
1. 標高が高いほど栽培できる地域が狭い→生産量が少ない→希少価値
2. 標高が高いほど茶畑の管理に手間がかかる→人件費がかかる→生産コストが高い
3. 標高が高いと気温が下がり茶葉の生産量が落ちる→希少価値
4. 標高が高いほどお茶が美味しくなりやすい→商品自体の価値が高くなりやすい
と、言うのがあります。香型や茶樹の樹齢による点はまた別の機会に。

1の解説
山というのはだいたい上が尖ってるもので、鳳凰鎮の山もそうなってます。そうすると標高が900m以上で茶畑にできるレベルの勾配の土地は限られており、可能な場所を全面茶畑にしたとしても中山、低山に比べれば面積は狭くなります。作付面積が少なければ生産量も少なくなりますから、希少価値が生じてきます。

2の解説
山頂付近はやはり急斜面が多くなります。斜面がきついと開墾もしにくいですし(確か高山は地域内の協定で開墾も限定される)、もちろん機械を入れることもままなりません。
そうなると基本人手で行うこととなり、そこには人件費がかかります。中国の人件費が安かったのは昔のことで、ここ20年で急激に上がっており今では職種によっては日本より高い人件費がかかる職種も多々あります。
茶摘みについても中国の他地域ですが、日本の茶摘みバイトの募集要項より高い金額の募集を見たことも有ります。
鳳凰単叢の高山、中山は全て手摘みですのでどうしても高コストになります。

3の解説
標高が高いと年間平均気温が低くなります。標高1000mでは海抜0mと比べて約6.5℃下がります。茶樹は気候が適している範囲内では暖かい方が生育が良く、つまりはそれだけ茶葉が育ち生産量も多くなります。
そのため気温の低い高山では茶葉の育ちが悪く、年1回しか摘み取りを行いません。反対に、低山、中山では冬頃に摘み取りを行う畑も有り、そのお茶は雪片として流通します。
このような生産量の違いから、高山はさらに希少価値が生まれます。
また寒いと言うことは霜に当たりやすくなり、それも生産量低下の一因です。高山の農家さんでは霜のせいで「今年はうちの畑のこの香型のお茶はありません」という場合もあります。

4の解説
さて希少ならそれで価値が上がるか?人件費がかかってるだけで高くできるか?というとそういうわけではありません。
やはり高山のお茶は低山、中山のお茶より美味しいのです。美味しくて、さらに生産量が限られる、しかも作るのにコストがかかる。
よって値段が高くなります。
なぜ美味しいかですが、高山ほど気温が低く、さらに霧が出やすい(雲にかかりやすい)ため太陽光を浴びない期間が長く、それも原因で気温がさがる。よって茶葉に蓄えられる化学物質(テアニンやタンニンなどの、味や香り、湯色に影響する物質)が変わってくるわけです。ここは正直不勉強なので、どう変わるか詳細は把握していませんが、高山の方が渋みが少ないのは確かです。
また低山やその下ともなると、害虫駆除のために農薬を使う茶園もあります。一概に無農薬が最高とは言えませんが、味には影響が出てきます。

じゃあ低山、中山のお茶はまずいの?というとそんなことは有りません。私が飲んでる鳳凰単叢は安い低山の物も多いですが、日常的に飲むのであれば十分です。
また鳳凰単叢の標準(広東省の定めた規格)では特級、一級、二級、三級と分類が定められており、低山だから特級を取れないというわけではありません。
当店は店の規模ゆえに低山は扱ってないのですが、相応量の発注が有れば取り扱いますのでご連絡ください。

不明な点の質問や間違い等のご指摘が有りましたら、リプ・DMいただければ幸いです。