2017/10/03 20:53

昨晩twitterでアンケートとった芝蘭香とは何かですが、サクッと内容を知りたい方はこちらのツイートを参照してください。
簡潔明瞭に説明されています。
この方は当店の鳳凰単叢仕入れ先で私の鳳凰単叢の師匠です。

さて、それだけだとせっかくのBlogネタが死んでしまうので、色々調べたことを書いていきましょう。
「芝蘭」でググると中華料理店が山ほど出てきますが、辞書の内容も出てきます。
3番目の回答の「霊芝と蘭の~」の元ネタです。
「レイシとフジバカマ」と有りますが、「霊芝」?どうなのそれ?と。霊芝は漢方薬に使われるキノコです。煎じても特に香りは良くありません。余談ですが大きい霊芝は中国で数百万円単位で取引されてます。
ここまで調べて、どうやら現代の中国語で「芝蘭」という植物は無さそうだと気づきました。
さらに色々ググると、芝蘭の大本は「荀子」※1や「孔子家語」※2などの言葉が元のようです。
どうやら、当時の君公の在り方について言及するさいの例えで素晴らしい香りを意味する単語として使われています。
芝蘭だけに限らず、他の~蘭などについては、「荀子の蘭」という文書で、こちらの方(http://cyberlaw.la.coocan.jp/index2.html )がかなり詳しく比定しようとしていました※3。
どうやら、フジバカマとするのが通説のようですが、この方は違う意見のようです。
他にも「芝」=「芷」として白芷(ヨロイグサ)ともとれそうです。

それでは、上のツイートに出てきた蕙蘭についてはどこから来たのか?というと、屈原の「楚辞」※4に「蕙芷」という単語が出てきますが、これが「蕙蘭」と「白芷」のことでともに王者の香りの代名詞とのこと。すごい。
蕙蘭は日本だと「一茎九花」という蘭の花です。

今まで出てきたのを整理すると、以下の3種が候補のようです。
ヨロイグサ
フジバカマ(の根?)
一茎九花

ここまで書いておきながら、私はこれらのどの香りも嗅いだことが無いので鳳凰単叢 芝蘭香との比較はできず、結論は出ないのです。
機会を見て、咲いてる場所などに行って嗅いでみたいと思います。

個人的には、「芝蘭香」は、個別の花の香りというよりは、素晴らしい花の香りであるという意味で付けられたのだと思います。
昔の人が素晴らしい花の香りがするお茶として名付けた「鳳凰単叢 芝蘭香」、是非とも飲んで実感してみてください。
また芝蘭香型の中でも「竹葉」は別名「芝蘭の王」と言われる最上級の香りです。こちらもお試しいただければ幸いです。


※1:「『荀子』 王制篇第九」 其民之親我歓若父母,好我芳若芝蘭
※2:「『孔子家語』六本」 與善人居,如入芝蘭之室,久而不聞其香,即與之化矣
※3: http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/Xunzi_Ran_1.pdf 、 http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/Xunzi_Ran_2.pdf 、 http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/Xunzi_Ran_3.pdf
※4:「『楚辞』七諫·沉江」聯蕙芷以爲佩兮,過鮑肆而失香