2018/01/23 17:17

結論の表はこちら。?は正式な簡体字が有るのか無いのか不明です。

OKNG
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これ以降はお時間のある方のみお読みください。

鳳凰単ソウ、嶺頭単ソウのソウの漢字ですが、お店ごとに使っている漢字が違ったり、あれはダメこれは良いというのが違ったりと訳が分からなくなったので整理しました。
その結果が上述の表です。

さて、その理由を説明していきましょう。
ぼやっとした状態なら、その原点を探れば良いわけです。
とはいえ史書などは持っていないので手持ちの書籍やネット検索で探したわけですが、どうやら「単ソウ」と呼ばれ始めたのはそれほど昔では無いようです。
昔の名前は「烏嘴茶」「侍詔(山)茶」「鳳山茶」「貢茶」「黄茶」など。「単ソウ」は出てきません。
「貢茶」は中央政府に納められるお茶という意味で色々な産地にあり名前としては平凡なものです。
「黄茶」は「潮中雑記」(1582年)に記載があり、現在の標準にある黄茶ではなく茶葉または茶湯の色が黄色いことから呼ばれていたのでしょう。
では「単ソウ」という記述が出てくるのはいつ頃なのか?
それがはっきりとはしないらしく陳掾教授の「中国茶外銷史」によると19世紀中頃に"饒平の‘単叢鳳凰’と‘線烏龍‘"という名前が出てくるようになったそうです。
元となった資料が分かりませんが中国茶葉外銷史では「」と記載しているようですね。
そうすると「丛」とそれに対応する繁体字「叢」は正しいでしょう。
では「欉」は?
「欉」は「叢」の異体字のため、現状はどっちでも良いということになります。なので「欉」もOK。
なお、どちらの字も金文の頃から有るため「欉」が「叢」の元となった字とは言えませんから、「欉」の方がより正しいとはこの観点からは言えません。
中国茶葉外銷史の元資料では「欉」だった可能性もありますが私には今のところ探る手立てが無いのでこれ以上は言えないところです。

残ったのは「」とその繁体字である「樅」。
もう繁体字が「樅」(もみ)である時点でダメなわけですよ。お茶と関係ない木ですもの。
では、なぜ「枞」が出てきたのか。
上の表で「欉」の簡体字が「?」になっています。
色々調べてはみたのですが、どうやら「叢」の簡体字は「丛」だけど部首として「叢」を持つ字には適用しないようなのですね。ちょっとここがあやふやなんですけども。
ここからかなり想像が入ります。
そうすると「欉」を簡体字にしようとしてもそのまま「欉」を使うべきですが「叢」は「丛」なのだから同じような略字化がされるべきと考えるのが人情。
なので私の持つ書籍では「木偏に丛」の字が印刷されている物もあります。

しかし、どうやらその漢字は文字コードに存在しないようです。
というわけで、似たような漢字として「枞」が使われてしまったのではないかと想像するわけです。
「枞」の旁と「丛」の違いは下線が有るか無いかなので紛らわしいと言えば紛らわしい。間違えるのもやむなし。

ここで詳しい人だと「広東省の鳳凰単叢の標準で()付きだけど「枞」が有るから良いのでは?」と思うかもしれません。
でも私は樅なんだからダメじゃないかなと思います。
ちなみに嶺頭単叢の標準には無いんですよ。あと内容はダメダメな国家標準の単叢にも「枞」は記載なしです。

当店では上に書いた理由もありますが、フォントが豊富で使い勝手の良い「叢」または「丛」を使っていきます。
「欉」は残念ながら使いません。「お、格好良いフォントだな、しかも商用利用可。これ使おう」と思っても入ってないことが多々あります。
…使わない理由がひどいですね。

以上、間違いや追加情報等ございましたらご連絡いただければ幸甚です。